文明の衝突から生まれるイノベーション
歴史を学ぶことは歴史を真似ることか?
忙しい時って、あれこれ余計なことを考えないんだけど、暇になったり、気に食わないことが起こるといろいろ考えちゃうわけですよ。特に飽きっぽい性格だと。
「何か新しいことをしたい」
みたいなことを。
「イノベーションを起こしたい」
みたいなことを。
言葉の響きはまことに良いのですが、暇で不貞腐れてる人間にイノベーションは起きないのです。いやマジで。
でも、このままでは精神衛生上良くないので、ひらめきをを求めて読んでみました。
戦略は歴史から学べ
著:鈴木博毅
歴史上の戦争戦略を経営戦略に応用しようというようなことです。
ですが、個人的な感想としては、そこ(歴史と経営の関連性)に関してはどうでもよくなっちゃった。
単純に世界史日本史の復習だと思うと非常におもしろく、そのほうが内容が頭に残りやすいのでは?と思う。
歴史、特に世界史って「文明の衝突」がキーワードとだと思うのですよ。単純な欲望というよりは、考え方の違いによる「違和感や嫌悪感の排除」ということの方が多いんじゃないかなと思うのです。そういう考えは元々持ってはいた。けれど、「それって経営と一緒じゃん」って、この本を読んであらためて気づかされた。
まあ、単純に欲望丸出しな経営もあるわけだけれど、この本の内容からは「そんな例はない」と言い切るがごとく。読んでいて気持ちがいいし、道徳の授業如くすり込み感があって、それもまた心地よい。
あくまでも個人的な考えですが、そうした論でもって真似をしようなんて思って読んではいけない。あくまでも戦略家の発想の出どころやきっかけに注目しするれば、あらしい発想が生まれそうな気になる。
ようやく「イノベーション」が起こせそうなクリエイティブな発想がひょっこり出てきそうな気配を感じる。
特に印象に残った章は?
特に印象に残った章は「㉛ベトナム戦争」ですね。
ベトナム軍がなぜ圧倒的な軍事力を誇る米軍を退けることができたのか?
たくさん映画にもなってるので、「ゲリラ戦だ」っていうの有名なお話。でもベトナム戦争がきっかけになった原因からして、そもそもがベトナム自体の内戦であり、それが終わってからの米軍介入なのでベトナム(解放戦線)自体に戦力があったわけではなにのです。
当初はわずか34人の部隊から始まり、学習と教育を繰り返して組織が大きくなっていく。その学習内容というのが、
①「なぜ、誰のために戦うか」という当事者意識をもたせる
②階級がない平等な現場組織で学習内容を共有する
③教育を受けた者が、教育をする側になるということを繰り返す
④敵の物資を奪取し活用することを徹底させる
で、特に現場で得た情報やノウハウを迅速に共有化することで敵に対して優位に立つ。
現代戦争なら当たり前に感じるかもしれないが、第二次大戦時もそれができなくて大敗した国がたくさんあったわけですから、農機具や旧式銃でゲリラ戦をしていた国がしていたと思うと、意外性と共に
「小」が「大」に勝つための秘策が「教育」である
ということは非常に参考になるのではないか。
著者のまとめの中から
著者のまとめの中から、本質をついた文言があります。
「あらゆる戦略家は、各時代の自ら戦場でこれからどんな未来がうまれるか、どのような未来を生み出せるかという視点で世界を眺め、思考を深く巡らせました。私たちそれぞれが、いかに望ましい未来を描き、手に入れるかの勝負なのですから。」
と。
そんな気持ちでビジネスに取り組めば、悪いことや誤魔化しがおこらない素敵な現場活動ができると思います。
最後に、これも本文の抜き出し、
「私はいま、非常にシンプル指標を使っています。それは『いま取り組んでいる仕事は、世界を変えるだろうか?』というものです(グーグルCEO ラリー・ペイジ)」
あえてもう一度言います。
歴史を学ぶことは素敵なことです。
戦略は歴史から学べ―――3000年が教える勝者の絶対ルール | 鈴木 博毅 |本 | 通販 |