ゲーム理論①「補完関係」
さまざまな販売手法や製品開発などが、ビジネスの多くで当たり前のことではなくなっている。ビジネスがシンプルなら、昔ながらの「経営戦略論」でもって対応できるであろうし、とっても有効だと思うが、多くの「経営戦略論」は例外があり過ぎて参考にしにくいと感じるのであります。
10年くらい前のビジネス書を読んでると、それが今や当たり前になっているか、古すぎて逆効果にしか思えないものがほとんど(※実際は有効かもしれませんが)。
「キーワードは変化への対応」かな?といろいろと本を探してみるとあったあった。一時代を築いた理論だが、今だからこそ大事っぽい理論。
それが☟
ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫
- 作者: B・J・ネイルバフ,A・M・ブランデンバーガー,嶋津祐一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/12/02
- メディア: 文庫
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変化に備える
ゲーム理論では「経済はダイナミックに変化している」という前提なので、応用させてなんぼな理論。旧来のような需要と供給から考えるのとは違い、前提条件がないのが特徴。なので、ビジネスが多様化しているポスト産業社会にはもってこいだと思うのであります。
旧来の需要と供給という所から入ると、行きつく先はやはり「価格」になるんです。昔は「やっぱそうだよね」って納得できたわけですし、「そのためには」というが多くのビジネス書で語られてたわけです。で、現代に当てはめると、実はそれが格差をつくる原因になっているのでは?という論調になっているわけです。
『補完材』に注目する
『補完材』は常にお互いの利益になる関係にあります。自動車でいうと、カーナビや洗車道具、タイヤ、保険、ローンなどです。
タイヤメーカー「ミシュラン」はタイヤの消費を促進させるために、車で出かけたくなるガイドブックを作成しました。また、アメリカにおける自動車販売初期の頃、車を購入しやすいようにローンをつくることで、自動車メーカーと銀行が補完しあうということがありました。その後、自動車メーカーがローン事業に参入すると、ローン金利が低下し、車が購入しやすくなり、販売台数が増加した。しかも、フォードモーターにおいては、ローン金利の利益が自動車販売利益を上回るということが十数年続いた。
『補完材』はただ利益を生むというだけなく、「補完材がない」ことで産業が成り立たないということも多い。例えば、イタリアの自動車メーカー、アルファロメオとフィアットはアメリカでの販売を開始したときに、スペア部品やメカニックがいなかったためにトラブルとなり、アメリカ市場から撤退となった。また、ソニーのベータ方式ビデオは、ライバルのVHS方式と比べてもあらゆる点で優れていたが、レンタルビデオがなかったために競争に負けた。
別の例を見てみよう。
コンピューターが導入され始めた当時、ほとんどの人が「そのうちに紙がいらなくなる」と考えた。ペーパーレスの社会がすぐに来ると思ったんだ。でも、現実はご存知の通りで、紙の使用量が減るどころか、コンピューターを使いプリントアウトすることで、紙を使う仕事が増えるということになっちゃった。
従来、「市場はパイの取り合いだ」とされていたものが、補完材の考え方によって「パイを大きくする」という考え方に変わる。
全ての同業者が競争相手としてみるのは偏っている。
多くの同業者は競争相手と同時に補完的生産者なのである。
競争相手を脅威と見るのではなく、補完関係を模索するべきなのだ。
次回に続く