木は生き物です(パート2変形を食い止める工夫)
木のねじれ、割れ
木は生き物です。
だから、ねじれたり曲がったりします。(※この説明は前回をご覧ください)
でも、その自然の動きを何とか阻止しようと材木屋さんや大工さんは工夫をしました。
それは『背割り』です。
そもそも、木のねじれや割れは木が乾燥してくるにつれて、縮む割合が異なることからおこります。
芯に近いほど縮みは小さく遅く、
芯から遠い白い材ほど縮みが大きく速いのです。
つまり、芯から遠いところが「裂ける」ように割れたり、繊維同士が喧嘩してねじれるわけです。
なので、はじめから一か所大きな割れをつくっておけば、縮んだときに裂けたり、喧嘩することがなくなるという理屈です。
『背割り』がなぜ「背割り」といわれるのか
山では、木の南側の面、又は斜面では開けている側を「背」と呼びます。
ちなみに反対側を「腹」といいます。
「背」側は日当たりがいいので、枝がたくさん出るのです。この木を切って製材し、材木とすると「背」の方に節がたくさん出てしまいます。(枝があったからね)
なので、結果的に一番見栄えが悪い(節が多い)面が「背」になるので、この面を犠牲にして背割りしていたわけです。
※但し、米松などの巨木から角材をとる場合は、そもそも芯がないため背割はしない。
昔の住宅(襖や障子で部屋を仕切っていた)をしている人は、柱が見えていたのでピンとくると思いますが、最近では石膏ボード貼って隠れてしまうし、新技術で背割なし加工したモノもあるので、普段の生活ではあまりお目にかからないですね。
せっかくの「木造」なので、もう少し「木」が見えてもいいのになと思う今日この頃であります。
木は生き物です。柱や梁から呼吸を感じられる『家』こそが木造だというくらいのこだわりがほしいなあと思うのであります。