続「その業界の常識を打破してみたら?」という本

「そんなバカな」という戦略を探す

 成功している企業、特にピンチ脱出経験をした企業で多くみられるのは、その経営の仕方が一見したところ「非常識」なのに、実は理屈が通ているというところだ。そうした例を取材した本が↓

 

「バカな」と「なるほど」

「バカな」と「なるほど」

 

 

会社や組織の変化しようとする動きを邪魔する要因に、

企業のその業界における慣行が『常識』であると思い込むこと

の他に

「こうするべきだ」という『べき論』の声が大きい

ということがあります。本書内では、

『べき論』をよくよく検討すると「自分都合主義」という特徴が見えてきます。つまり、世の中の変化や時代の流れに逆らう人は、その流れがマイナスに作用する人であることがほとんどである。

 と言ってますが、MoomiNの考えは、

『べき論』は長年のノウハウの蓄積であって、バイブル的な事柄だと思うのだが、大企業ともなると自分に都合が悪いことを隠すために持ち出す人が多いのでしょうね。ただ、ビジネススピードが速いと「昔はだめだった」ことも「今ならいい」ということがあり得るわけで、じゃあ結局正解は?なんてことになってしまう。

 こうした意見をまとめることができるのは、結局は経営方針をしっかり示すトップの力ではないかと思うのであります。

 

伝える・伝わる

 前回、この本は1988年初版で内容は古いとお話しましたが、例として挙げられた企業の現在を調べてみると、今現在でも変革・革新を繰り返して成長しています。

 そうした企業が苦労した点について本書では、

「いかに戦略を社員に伝えるか」

をあげています。

戦略を社員に伝えるために

  1. 口頭・・・経営方針の発表
  2. 文書・・・経営計画の作成・発表
  3. 人事・・・誰を選ぶかで戦略を伝える
  4. 予算・・・会社の本気度を伝える
  5. 組織・・・組織改革で伝える

 マイナスの情報は企業におけるイノベーションの源泉!!

 情報という漢字は「情け」に「報いる」と読むことができる。情報は非人間的な技術なものと思いがちだが、実は情けに報いてくれるもの、つまり人間的で心理的で情緒的なものであるのです。

 即ち、情報の伝え方、伝わり方、捉え方は『人の情』で変わるのです。

 

松下電器産業 山下俊彦前社長 曰く

「社長という仕事は、みんなが納得する危機感を採りだして全員にそれを自覚させることだと思います。そもそも第三者の目には順調にいっているように見える時に、みんなに危機感を持たせないと何の効力もない」

 

受け入れるべき事実もある

 しかしながら、会社における「社員」が組織として理想的に育て上がるには5年必要だといわれています。それは、その会社の思想や風紀を受け入れない者が辞めていき、受け入れることができた者だけが残るのに必要な年月だからだそうです。

 即ち、『人づくりは人選び』というのが極論であるが事実であるらしい。

 

 また、消費財の購入決定の85%は女性によってなされているのに、経営の在り方は男性主動ということが多い。会社の中で消費財を開発し、サービスを考え出しているのが男性であるというのはどうもおかしい。

 「男の職場に女性が入ると男性の行儀が良くなる」

というのは確かにそうなんだろうけど、

これも「業界の常識」や「べき論」から生み出される『バカなこと』なんじゃないかと思うのであります。