ゲーム理論⑥「範囲を考える」
新規参入は常に不利な状況です。品質やブランドの認知・証明、取引関係、固定客など何ももっていないから。でもでもそれは「付加価値」がないからで、決して不利なだけとは限らない。戦略があれば、「後出しジャンケン」の優位性を獲得できるかも。
「競争相手」や「価格」だけをみるのをやめて、「すべてがつながっている」と考えればさまざまな戦略が見えてくる。
ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫
- 作者: B・J・ネイルバフ,A・M・ブランデンバーガー,嶋津祐一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/12/02
- メディア: 文庫
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後出しの優位性
任天堂が8ビット家庭用ゲーム機『ファミコン』で成功している頃、セガエンタープライズ社は16ビット家庭用ゲーム機『メガドライブ』で勝負に出た。当初は鳴かず飛ばずの販売だったが、ゲームソフト『ソニック』とゲーム機本体をセットで販売したころから任天堂とのシェアが逆転。さらに任天堂は8ビット市場をも失うこととなる。
任天堂がすぐに16ビット市場に参入したかったのは、
- 8ビットの市場はまだ盛況だった。
- 16ビットに移れば、8ビットの市場が衰退する懸念があった。(付加価値の喪失)
- 開発中の16ビット機とそのソフトに自信があった。
- 参入と同時に16ビット市場の価格競争が始まるため、利益確保が難しい。
からで、選択は合理的であったといえる。
このように、新規参入であっても「新しい技術」をもって「優れた製品」による参入であれば後出しジャンケンとすることができる。
違った角度から見てみよう
1977年アメリカのミンネトンカ社はプラスチックのポンプ式ボトルと液体せっけんを開発・発売した。この時も、大手石鹸メーカーは参入を遅らせた。
- 液体せっけんの成功が本物か不明
- 革新的だが必要性は感じなかった
- 既存の固形石鹸の付加価値を失いたくなかった
- 液体せっけんは「石鹸」ではない(洗剤である)
- 液体せっけんは「病院用」で世間的に印象が悪い
大手の参入が遅れれば遅れるほど、市場先行者は優位に立てる。
最後に
どんなゲームも「より大きなゲームの中でしている」ということ。ゲームを変えるために他者の犠牲は必要ないんですね。
正しい戦略を見つけることは、他者との関係における「協調」と「戦争」の要素を見分けていくことなんです。そうすることで、自分の利益になるようにゲームを組み立ててみよう!!